企業研究

【SIer企業研究】富士通の事業内容や業務、強み・弱みを分析

基本情報

会社概要

会社名 富士通株式会社
創業年 1935年
事業内容
  • テクノロジーソリューション
  • ユビキタスソリューション
  • デバイスソリューション
従業員数 連結132,000名(2019年3月31日時点)
売上高 4兆0983億円(2018年度)
本社 神奈川県川崎市
平均年収 798万円(平均年齢43.2歳)

企業理念

富士通グループは、常に変革に挑戦し続け
快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し
豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供します

事業について

事業内容

日本で最大のITベンダーである富士通。

ITサービスベンダーランキングでは国内で第1位、世界でも5位にランキングされる日本を代表するIT企業です。

富士通の事業は大きく以下の3つの事業セグメントに別れています。

  • テクノロジーソリューション
  • ユビキタスソリューション
  • デバイスソリューション

それぞれの事業内容について詳細に説明していきます。

テクノロジーソリューション

ITシステムのコンサルティングから、設計、アプリーケーション開発を行ういわゆるSI(システムインテグレーション)を行っているセグメントです。

富士通ビジネスの屋台骨とも言える主力の事業セグメントで、売上高のうち実に60%をこのセグメントが稼ぎ出しています。

顧客のITインフラを預かり、運用、管理を行うデータセンター事業もこのセグメントに含まれています。

また、富士通のSIerとしての特徴の一つであるHW事業(サーバーやストレージ、ATM等)についてもこのセグメントに含まれます。

今後もよりこの事業に注力していく方針を打ち出しています。

ユビキタスソリューション

パソコン、携帯電話、モバイルウェアの開発・提供を行っているセグメントです。

高品質・高性能にこだわったデスクトップPCやノートパソコン、タブレットをグローバルに展開しています。

携帯電話はフラッグシップモデルのスマートフォン「arrows」シリーズを提供しており、高品質なモバイル機器を開発・製造しています。

2018年度において、ユビキタスソリューションのセグメントは総売上高の13.2%を占めています。

デバイスソリューション

システムメモリ事業、ウェハーファウンドリ事業、電子デバイス製品の販売等を行っているセグメントです。

高品質な半導体製品およびサービスを提供しています。

2019年度において、デバイスソリューションセグメントは総売上高の7.6%を占めています。

業績

次に富士通の業績について見ていきましょう。

富士通が公開しているIR情報によると、過去5年間の業績は以下のようになっています。

以下のグラフは、富士通が公開しているIR情報を元に当方でグラフを作成しています。

売上高としては、2015年度まで続いた4.7兆円台から、事業売却等により2016年度は4.1兆円台にまで下がっています。

その後も事業規模は減少を続けており、2018年度にはついに4兆円を割っています

2015年度までからの大幅な売上減は、ビジネスモデル変革のための事業売却による規模減少と言えます。

ですので、売上を上げる能力自体4兆円前後でほぼ横ばい〜微減傾向と考えて良いでしょう。

国内での不採算事業を売却したにも関わらず、2019年度の海外での売上高比率がわずか31.8%(12,285億円/38,577億円)となっており、2018年度は36.8%からも減少しています。

海外事業でも非常に苦戦している状況が伺えます。

為替等の影響のあるため、一概には言えませんが傾向を脱するには海外での事業の成功が鍵になると思われます。

営業利益に関しては、2019年度には5.5%にまで回復しました。

事業体質の変革を進めてきた成果が出つつあるのと、2019年度はメインフレームの特需とスーパーコンピュータ富岳の出荷により、HWプロダクトを扱うテクノロジーソリューションのシステムプラットフォーム事業が牽引しています。

富士通の強みであるHWの技術力を生かした利益確保の地盤が復活してきたと考えてよいでしょう。

ただし、この営業利益率の回復も、2,850人にもおよぶ大規模な人員転換による固定費圧縮による効果も含まれているためプラス要因だけではありません。

また、グローバル規模で富士通の競合となるIBMが利益率10%〜15%前後を安定して確保していることを鑑みると、事業構造の改革が求められていると言えるでしょう。

まとめ
  • 過去5年の売上高は微減。営業利益率は復活傾向。
  • 海外事業の成功が、売上高の向上、利益率改善の鍵
  • ITサービス関連事業でのさらなる進化等、事業構造の改革が求めれる

富士通の強み

ITサービスベンダとしてのプレゼンス

ITサービス市場において、富士通は国内で第1位、世界でも第5位の規模になります。

売上高が減収・横ばい傾向のここ数年間においても、国内で第一位のポジションは確保しており、安定した顧客基盤を保有していることが伺えます。

サーバー製品の安定した売上

特に日本国内の業務用サーバー市場においては圧倒的なプレゼンスを誇っており、NECやHPを抑えて国内においてシェア25%前後を確保しており第1位となっています。

テクノロジーソリューション事業において、純粋なSIやサービス開発においては競合も多く必ずしも強者とは言えませんが、サーバー製品の安定した売上が富士通のテクノロジーソリューション事業を支えていると言えるでしょう。

富士通製のサーバーやATM等のHWを使うと決めている顧客も一定数おり、そういった顧客基盤を元に、SIの領域は他社でも、「HWは富士通さんに任せたい」と言わせるだけの技術力と信頼を得ています。

また、旧「電電ファミリー」と呼ばれただけあり、NTT向けの専任営業部隊を持つ等、NTTグループへのHW納入でも引き続き一定の規模を持っています。

NTTドコモへのNW機器納入や、NTTデータ、NTTコミュニケーションズのSI案件やデータセンタ事業へのサーバ製品の納入も一定の規模で行われており、事業の安定性に寄与しています。

富士通の弱み

デジタル領域での新ビジネス創出

デジタル時代に向けたサービス提供を強化していく必要があります。

上述した富士通の強みを活かせる領域もまだ存在しますが、これからは既存の事業領域だけではなく、新たな領域でこれまでとは異なる世界の競合との競争に勝てないと、飛躍的な業績の向上は望めないといえるでしょう。

例えばアクセンチュアのようなコンサルティング領域での競争力の強化や、Google等のデジタルプラットフォーマーが、富士通の事業領域に攻め込んでくる可能性もあります。

顧客の事業に必要とされるシステムやハードウェアを納品するだけではなく、自ら「稼げるサービスを生み出す」ことが求められる時代において、富士通からはそういったサービスがまだ出て来ているようには見えません。

統合レポート2018の中で、田中達也社長(当時)も以下のように述べており、課題としての意識はあるようです。

成長ドライバーとしてデジタルビジネスが本格化しつつあるかといえば、
当社のビジネスモデルの変革が想定していたスピードで進んでおらず、
十分な成果を出しているとは言えないのが現実です。

BtoBのビジネスモデルにおいて、今後も顧客から継続的にパートナーとして認められるためにも、これまでとは異なる新ビジネスを国内外に展開していくことが求められています。

グローバルでの競争力強化

日本では非常に好調な、サーバ製品に関しても、グローバル市場においては、DELLやHP、IBMと比較すると大きく遅れています。

また、HWではないSIやITサービスにおいては、海外ではほとんど認知されておらず、日本の知見を活かした海外での競争力強化が求められています。

海外売上高比率を50%をKPIとして設定し目標化しましたが、2018年時点で36.8%と伸び悩んでおり、具体的な戦略も提示できていないことから、当面のKPIから除外することが決定しました。

抜本的な事業の成長においては、海外での事業の競争力強化というのは必要不可欠な要素です。

早急にこの課題に対して手を打たなければ、今後の富士通の成長において大きな足かせとなるでしょう。

業務内容について

富士通の社内における職種は大きく以下の4つに分類されます。

  • セールス&マーケティング(営業)
  • ソリューション&サービスエンジニア(システムエンジニア)
  • 開発・研究
  • コーポレートスタッフ

富士通においては、一般的なシステム開発を行っている企業と同じく多くの社員が営業(セールス&マーケティング)、もしくはSE(ソリューション&サービスエンジニア)として配属されます。

セールス&マーケティング(営業)の業務内容

顧客の課題に対して最適な解決策を見つけ出す、提案型のICTソリューション営業です。

顧客の課題を見つけ出すところから始まり、それをシステムで解決するための方式の検討を社内のSEと協力して企画し、顧客へ提案していきます。

各営業プロセス(ニーズ把握からクロージングまで)において中心的な役割として、顧客とのリレーションの構築HWからシステム構築までシステム全体を自社製品でまかなえる自社の強みを活かし、案件を受注するのが主な役割です。

ソリューション&サービスエンジニア(システムエンジニア)

システムエンジニアとして、顧客の要件を満たすシステムを設計しデリバリ・保守するまでを担当します。

日本でも最大手だけあり、担当するシステムは大規模なものが多くやりがいは非常に大きいと思います。

プライムベンダとしての受注案件が多いため、最上流工程を担当することが多いです。

そのため、担当する業務はエンジニアリングというよりは、早いうちから進捗管理や外注管理等の管理寄りの仕事が中心になるため、エンジニアとしてのキャリアを目指す場合は、必ずしもそぐわない可能性もあります。

競合企業

富士通の競合として、以下に挙げる企業はチェックしておくべきでしょう。

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