企業研究

【SIer企業研究】CTCの事業内容や業務、強み・弱みを分析

基本情報

会社概要

会社名 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称CTC)
創業年 1972年4月1日
事業内容
  • コンピュータ・ネットワークシステムの販売・保守、ソフトウェア受託開発
  • 情報処理サービス
  • 科学・工学系情報サービス
  • サポート
  • その他
従業員数 単体:4,419名、連結:9,085名(2020年4月1日現在)
売上高 4,870億円(2019年度)
本社 東京都千代田区
平均年収 870万円(平均年齢40.7歳)2019年度有価証券報告書より

企業理念

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の企業理念は以下の通りです。

スローガン

Challenging Tomorrow’s Change

使命

明日を変えるITの可能性に挑み、
夢のある豊かな社会の実現に貢献する。

価値観/私達の心得

価値観 私達の使命
変化への挑戦 常に新しいことに取り組み、
決して諦めずに臨んでいるか?
価値への挑戦 お客様が期待する以上の価値を、
生み出しているか?
明日への挑戦 自由な発想で、
よりよい明日の姿を描いているか?

事業について

事業内容

日系のITサービスベンダーとしては、5〜8位あたりに位置づけているCTC。

伊藤忠商事という親会社を持ち、一般的にユーザー系SIerとして位置づけられています。

CTCの事業セグメントはインダストリー別に以下の6つのセグメントに分けられています。

  • エンタープライズ事業
  • 流通事業
  • 情報通信事業
  • 広域・社会インフラ事業
  • 金融事業

それぞれの事業内容の詳細について説明していきます。

エンタープライズ事業

製造業、メディア、サービス、自動車、運輸、生活消費財、ライフサイエンス・ヘルスケアなどの産業向けに、トータルソリューションを提供しています。

IT製品販売、コンサルティングから開発、保守、運用までを一気通貫で担い、お客様のニーズに最適なソリューションを提供します。

エンタープライズ事業が占める売上高比率は24.5%で、2番目に収益の大きいセグメントとなります。

流通事業

流通、食品・卸、小売などの企業や、クレジット、保険、証券等の金融系企業に対して最適なソリューションを提供しています。

上記のクライアント向けに、開発・保守・運用、クラウドサービス、データセンターサービス、アウトソーシングサービスに至るまで、顧客ニーズに応える多様なサービスを提供しています。

親会社の伊藤忠商事の基幹システムを担当しているセグメントでもあり、伊藤忠グループの情報システム会社としての役割も果たしています。(参考:伊藤忠商事事例

売上高に流通事業が占める売上高比率は9.4%です。

情報通信事業

大手通信事業者、および放送局、CATV(ケーブルテレビ)、ISP(インターネットサービスプロバイダ)、IDC(インターネットデータセンタ)、OTT(オーバーザトップ)などの事業者に向けたシステム構築を行っています。

通信という今や社会インフラとも言える事業者をクライアントとし、ミッションクリティカルで品質やセキュリティ等の要求レベルの高いシステム提供を提供しています。

売上高に流通事業が占める売上高比率は35.6%で、全社で最も高い売上高を誇る稼ぎ頭とも言えるセグメントです。

広域・社会インフラ事業

中央省庁や、地方自治体、郵便や、電気、教育等、社会インフラとなる事業者、および、首都圏、北日本、中部、西日本における地域民間企業向けのシステム提供を行っています。

売上高に広域・社会インフラ事業が占める売上高比率は12.5%です。

金融事業

銀行や保険等の金融分野の顧客向けに企画提案から製品販売、システム開発・構築・保守運用、データセンター、アウトソーシングサービス等のソリューションをトータルで提供しています。

Fintech分野でのサービス・システムの構築や、Regtechによるグローバル規模での規制対応のサポートも提供しています。

売上高に広域・社会インフラ事業が占める売上高比率は4.9%です。

業績

次にCTCの業績を見ていきましょう。

以下のグラフは過去5年間のCTCの売上高と営業利益率です。
(このグラフはCTCが公表しているIR情報を元に当方でグラフを作成しています。)

売上高の規模としては4,000億円台後半で、日系のITサービスベンダーとしては、5〜8位あたりに位置づけとなっています。

1〜4位は、富士通や、NTTデータ等、売上高規模では1桁違うプレイヤーとなり、CTCの競合となる同規模のベンダーは、NRIや大塚商会、TIS等が挙げられます。

売上高の推移としては、過去5年間は増収傾向が続いています。

営業利益率としては7〜8%台となっています。

日系のITサービスベンダーとしては平均的な営業利益率だと思います。

セグメント紹介でも言及したとおり、エンタープライズ事業(24.5%)、情報通信事業(35.6%)とこの2つのセグメントだけで全売上高の60%以上と、全社の事業を牽引しています。

事業ポートフォリオの偏りが大きいため、この2つのビジネスの安定性、成長性がCTCのビジネスのカギを握っています。

逆に言えば、他事業の成長による、事業ポートフォリオの最適化が課題とも言えます。

また、グローバルビジネスにおいては、2018年度において411億円(総売上高4,519億円)とグローバル関連ビジネスはわずか9%と非常に規模が小さいです。

CTCとしてもグローバル化は課題として注力領域に挙げています。

GAGRが2%台の国内IT市場の成長以外で収益を拡大する、大手のクライアントのグローバル化に応えるITベンダーになる、という意味でも、グローバル化は急務の課題と言えます。

まとめ
  • 売上高は4,000億台ながら増収傾向。
  • 国内ITベンダでは5〜8番手の第2集団の位置付け。
  • 強み領域以外の事業を伸ばし、事業ポートフォリオの最適化による事業安定化がカギ
  • 今後さらなる成長を志向していく上で、グローバルビジネスの拡大が課題

CTCの強み

商社の血筋を継ぐ海外のIT製品販売スキーム

海外から最先端のIT製品を仕入れ、日本国内で販売するという、商社である伊藤忠のビジネスモデルをIT製品に特化して展開するところからスタートしています。

その血筋から、古くからOracleやvmware、SAP等、海外の有力製品とのパートナーシップを締結し、インプリメンテーション、サポートまで含めたビジネスを展開してきました。

現在においても、上記で挙げた製品はもちろん、その他の海外の有力IT製品とパートナーシップを締結し、日本国内に展開しています。

スクラッチでフルオーダーメイドのシステムを好んでいた日本の大手企業においても、サービスを利用することによるコスト削減や導入期間短縮のニーズは高まっています

大手の競合となるSIerは、大規模なサービスをスクラッチで作りこむ構築力や技術力を強みとする企業が多いですが、CTCはサービスを使い顧客に適用する力に強みがあります。

海外の優れた製品を国内の顧客に提供してきた実績やスキームは今後のビジネスにおいても活かせる強みとなるでしょう。

伊藤忠グループという顧客基盤

「ユーザー系SIer」の特徴のひとつとも言えますが、グループ内の売上という顧客基盤があるのも事業の安定性という意味では強みと言える大きな特徴の一つです。

伊藤忠商事が51%以上の株式を保持し、伊藤忠商事の連結子会社となっているCTCが伊藤忠グループ内において、ITシステムを担う会社として重宝されるのは当然のことと言えます。

製品やサービスの導入だけではなく、グループ内のシステム部門として、IT戦略や企画から伊藤忠商事本体のシステム部と一体となって推進するプロジェクトも多くあり、そこで大規模なシステムの構築/運用ノウハウを蓄えています。

CTC弱み

伸び悩むグローバルビジネス

日本の大手ITベンダーでも海外に成長の機会を求めるベンダーは多いですが、CTCはこの点において大きく出遅れてしまっていると言えます。

2018年度ベースで海外での売上高比率が約10%と非常に低く、2020年度までの中期経営計画で目標している海外売上600億円を達成したとしても、その比率は10%台に留まります。

国内市場におけるIT投資のGAGRは2%台と低く、海外市場を抜本的な事業の成長ドライバーとして考えた場合、M&A等による地理的な事業領域の拡大により、グローバルビジネスへの取り組み方を根本的にテコ入れしていく必要があると考えます。

デジタル領域でのビジネス創出

CTCのビジネスモデル上の特徴として、インフラ領域での構築やデータセンター等のサービス提供ビジネスが多くの割合を占めています。

これらの領域は、今後クラウドサービスによって、コモディティ化していく領域と目されており、大手のベンダーによるシェアの奪い合いや価格競争が激しくなると考えられます。

そのような中で、今後クライアントとなる企業のIT投資や経営戦略上の差別化領域として期待されるのがデジタル(DX=Digital Transformation)領域です。

本課題は、2020までの中期経営計画の中で「上に広げる」として重点課題にも挙げられています。

DXビジネスの領域でプレゼンスを発揮していくためには、インフラレイヤーではなくアプリケーション等のより上位のレイヤーでの強みを獲得し、顧客と一体となってデジタルビジネスを創出していく必要があります。

強みをアピールするリファレンスの積み上げや、先進技術への投資・成果の刈り取りなど、デジタル領域でプレゼンスを獲得し、インフラレイヤー以上の価値を提供できるかが今後の課題となります。

CTCの業務内容

CTCの職務は大きく、以下の2つに分かれています。

  • 営業
  • エンジニア

CTCの業務の中で、それぞれどんな業務を行っているか説明していきます。

営業

課題の発掘から、要件定義、提案、クロージングといったプロジェクトの初期フェーズにおいて中心的な役割を果たします。

クライアントが抱える課題・ニーズを正確に理解し、エンジニアを巻き込みながら、CTCの技術力を活かし、クライアントのニーズを満たす提案を作り上げます。

技術的な面ではエンジニアとコミュニケーションを取り、プロジェクト全体としてのリスクを低減しながら、顧客と構築するシステムに関する合意を得て、契約を獲得する重要なミッションです。

設計や開発等の工程に入った後も、常にプロジェクトの状況を把握し、クライアントとエンジニアのコミュニケーションをつなぐハブとして、調整やフォローを行います。

システムエンジニア

要件定義までの、プロジェクトの初期フェーズにおいては、営業と連携しシステム化する際の大まかな実現方式や制約、予算、スケジュール等をクライアントを合意するための技術的な知見を提供します。

設計以降の工程では、プロジェクトマネジメントやシステムの詳細設計、構築を担い、品質を担保しながら開発を進めます。

リリース以降も、システムの安定運用のため、システム監視や、パッチ適用、障害対応等の保守対応を行います。

競合企業

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