企業研究

【SIer企業研究】iSiDの事業内容や業務、強み・弱みを分析

Contents

基本情報

会社概要

会社名 株式会社電通国際情報サービス(通称:iSiD)
創業年 1988年(昭和63年)
事業内容
  • コンサルティングサービス
  • 受託システム開発
  • ソフトウェア製品(自社開発ソフトウェア)の販売/サポート
  • ソフトウェア商品(国内外ベンダーのソフトウェア)の販売/サポート
  • アウトソーシング・運用保守サービス
  • 情報機器販売・その他
従業員数 3,117名(2020年12月時点)
売上高 1,086億円(2020年12月期)
本社 東京都港区港南2-17-1
平均年収 1,047万円(平均年齢41.0歳)

企業理念

iSiDの企業理念は以下の通りです。

ミッション

誠実を旨とし、テクノロジーの可能性を切り拓く挑戦者として、
顧客、生活者、社会の進化と共存に寄与する。

ビジョン

HUMANOLOGY for the future

人とテクノロジーで、その先をつくる。

人を見つめ、社会の行く先をとらえ、テクノロジーの可能性を拡げる。
人とテクノロジーが響きあえば、未来はもっと良くできる。

行動指針

  • AHEAD:先駆けとなる
  • Agile:まずやってみる
  • Humor:人間魅力で超える
  • Explore:切り拓く
  • Ambitious:夢を持つ
  • Dialogue:互いに語り尽くす

事業について

日本最大の広告代理店の電通と、世界最大の総合電機メーカーであるGEとのジョイントベンチャーとして発足した電通国際情報サービス(以下、ISID)。

電通グループの中でのSIerとしての機能を有し、日本のITサービス市場においても年々存在感を増している成長著しいSIerです。

親会社である電通グループのシステムはもちろん、製造業や金融向けサービス等においても、強いオファリングを持っています。

電通グループのITシステムを担うパートナーとして、非常に協力な事業基盤を持っていることに加え、近年では電通グループ各社との協業によるデジタルオファリングの創出もしており、電通グループ全体のクライアントを顧客をターゲットにしたビジネスも加速してきています。

事業内容

ISIDはSIer(システムインテグレーター)として、様々なITサービスを組み合わせクライアントに提供しています。

ISIDが提供する主要なサービスとしては、以下のようなものがあります。

  • コンサルティングサービス
  • 受託システム開発
  • ソフトウェア製品(自社開発ソフトウェア)の販売/サポート
  • ソフトウェア商品(国内外ベンダーのソフトウェア)の販売/サポート
  • アウトソーシング・運用保守サービス
  • 情報機器販売・その他

「業務を知りつくしたITのプロ集団」として、これらのサービスを統合的に組み合わせ、クライアントのビジネスプロセスの改革やITの活用を支援しています。

ISIDの事業セグメントは以下の4つに分かれています。

  • 金融ソリューション
  • ビジネスソリューション
  • 製造ソリューション
  • コミュニケーションIT

ここからは、ISIDが公開している上記の4つのセグメントに沿って、各事業の内容を詳細に説明していきます。

金融ソリューション

金融機関を始めとし、企業における各金融関連業務を支援するITサービスを提供しています。

金融機関のグローバル化を支援するコアバンキングシステムや最先端の金融工学を実用化した市場系ディーリングソリューション等を提供しています。

ISIDはセブン銀行へのAzureを活用したクラウドプラットフォームの導入(事例記事)や、みずほ銀行への新たなチャネルソリューションの導入(事例記事)など、Fintech領域でも大手金融機関を中心に事業を成長させています。

金融ソリューションセグメントは、2020年ベースで、ISIDの売上高の約22%を占める規模となっています。

ビジネスソリューション

大企業を中心に、様々な業種の企業へのITソリューションを導入しています。

特に会計・人事領域のソリューションに強みを持っており、連結会計ソリューションの「STRAVIS」は三菱商事や、伊藤忠商事などの大手を中心に950社を超える企業に導入されるなど、サービス型のビジネスで独自の強みを発揮しています。

ビジネスソリューションセグメントは、2020年ベースで、ISIDの売上高の約20.3%を占める規模となっています。

製造ソリューション

製造業に向けて、製品開発〜製造〜販売〜保守という一連のバリューチェーン全体を対象とするITソリューションを提供しています。

日本型のビジネスの象徴とも言える自動車業界等の製造業に、CAD(Computer-Aided Design)やCAE(Computer-Aided Engineering)、PLM(Product Lifecycle Management)といった専門性の高いソリューションを提供しています。

製造ソリューションセグメントは、2020年ベースで、ISIDの売上高の約28%を占める規模となっています。

コミュニケーションIT

電通グループ向けの基幹システムの提供、電通グループ各社との協業による新たなイノベーションの創出をミッションとしています。

電通グループのビジネスを支えるITを一手に引き受けるだけでなく、電通グループ各社の強みを活かした顧客のデジタル・トランスフォーメーション支援までを実施しています。

コミュニケーションITセグメントは、2020年ベースで、ISIDの売上高の約29.6%を占める規模となっており、ISIDの事業セグメントの中では最大の規模となっています。

業績

次にISIDの業績についてです。

ISIDが発行しているIR情報を元に、近年の業績を分析していきます。

下記のグラフは、ISIDが公表している情報を元に、当方でグラフを作成しています。

2020年度の業績は売上高が1,086億円となっています。

売上高規模としてはSIerの中でも中堅クラスの規模となっていますが、毎年安定して成長を続けているのが特徴です。

直近4年間の平均成長率も8%を越えており、大型のM&A等の施策がなくとも、安定的に事業を成長させていることが伺えます。

新型コロナウイルス等の影響により、売上・利益の確保に苦しむITベンダーも多い中、ISIDは売上高は前年比で約8%成長、営業利益率も11.1%確保するなど順調に事業を運営しています。

営業利益率11.1%というのは、国内の大手SIerと比較しても高水準で、ISIDの提供するサービスの品質/付加価値の高さを象徴していると言えます。

屋台骨とも言える電通グループ向けの事業はもちろん、製造業向け事業においても、DX投資の加速の流れの中で着実に案件の刈り取りができており、この勢いは当面続くと予想されます。

その証拠に、2019年-2021年の中期経営計画『ISID X(Cross) Innovation 2021』の進捗において、当初目標としていた『営業利益110億円』という数字を『125億円』に上方修正しています。

電通グループのDX関連ビジネスにおけるシナジーと、ソフトウェア・サービス型のビジネスの順調な拡大が背景にありますが、今後もISIDの強みとして注力していくと予想されます。

まとめ
  • 規模こそ中堅クラスではあるが、安定的な事業成長を実現しており勢いがある
  • 付加価値の高いサービスを提供し、高利益率を実現している
  • 電通グループとのDX領域での共創など、次のビジネスの目も拡大

ISIDの強み

IT×業務の専門性の高さ

他の競合SIerと比較すると、各事業領域において専門性の高いサービスを展開していることもISIDの事業を支える強みとなっています。

製造業のバリューチェーンを支えるPLM領域や、質の高いシミュレーションを実現するCAE等の分野では、製造業の業務・ビジネスモデルに関する深い知識と洞察が不可欠です。

DXという文脈においても、顧客のビジネスモデルの変革を支える知識と戦略を持ち合わせており、自動車業界でのMaaSシフトや、CASEの実現といった領域でも着実にオファリングを拡大しています。

また、専門性の高さを活かし、各業務領域のベストプラクティスをサービス型で提供するモデルにおいても成功例を多く生み出しています。

例えば、連結会計パッケージのSTRAVISや、グループ経営基盤パッケージのCi*X(サイクロス)シリーズを中心に、基幹領域のパッケージ化、サービス化によるビジネス規模拡大も堅調です。

国内の大手の競合SIer(NTTデータや富士通、日立等)と比較しても、給与水準は極めて高く、まさに少数精鋭で質の高いプロフェッショナルサービスを提供しているのがISIDの競争力の源泉と言えます。

電通グループとのシナジー

電通グループのIT領域の中核会社とも言えるISIDですが、電通グループ各社の手掛けるデジタル領域でのビジネスとの共創にも大きく取り組んでいます。

デジタルビジネス、DXという領域に各社が取り組む中で、日本最大のマーケティング会社である電通グループを上げてのデジタルマーケティング領域でのビジネス拡大のための座組『Dentsu DX Ground』も設定されています。

デジタルトランスフォーメーションやSoE領域の代表とも言えるデジタルマーケティングを中心とした、統合的なオファリングの拡大、顧客へのソリューションの提供において、ISIDの高い専門性と、電通グループのノウハウを集約した新たな価値の提供が期待できます。

ISIDの弱み

事業規模拡大スピードの加速

堅調に事業を拡大しているISIDですが、まだまだ事業の規模においては、大手群のSIerと比較すると大きな開きがあります。

特に日本のSIビジネスにおいては、顧客も『大手と付き合っておけば間違いない』、『大きな案件はこれまでシステムを頼んできた大手のプライムベンダーと』という風潮が強いのが実情です。

規模を考えると、存在感が大きいことは間違いありませんが、専門性の高さと質の高いオファリングを有していても、それを提供する顧客基盤が薄ければ意味がありません。

今後は、電通グループ各社のクライアントへのISIDのオファリングのクロスセルやM&Aによって、効率的に質の高いクライアントを獲得していくことが課題になってくると考えます。

ISIDの業務内容

ISIDでは職種としては以下の3つに分かれるようです。

  1. 技術職(ITコンサルタント、システムエンジニア、プロジェクトマネージャーなど)
  2. データサイエンティスト職
  3. 営業職(法人向けソリューション営業)

次に、それぞれの職種における業務内容を説明していきます。

技術職(ITコンサルタント、システムエンジニア、プロジェクトマネージャーなど)

職務レベルによって、IT戦略の策定支援〜実際のシステム導入・開発まで幅広く担当します。

コンサルティングの領域から、実際のプロジェクト内のマネジメント(PM)、要件定義や設計/開発(SE)までを担当し、業務・テクノロジーの両面で専門性を発揮しながら業務を遂行していきます。

データサイエンティスト職

データを中心に、クライアントに対して、データ活用の提案からデータ分析ソリューションの実装を担当します。

デジタル・トランスフォーメーションの一丁目一番地とも言えるデータ活用領域において、データの収集・可視化〜分析まで一気通貫で支援し、顧客のデジタル・トランスフォーメーションを支援します。

営業

電通グループや公共機関、金融、各業界の大企業まで幅広い顧客を対象にISIDのオファリングの提案を行います。

ISIDの有する各種オファリングのの中から、最適なものを組み合わせ、パッケージの導入からスクラッチのSIの提案まで、クライアントのビジネスの変革を支えるソリューションを提案します。

競合・関連企業

  1. NTTデータ
  2. 野村総合研究所
  3. 富士通
  4. NEC
  5. アクセンチュア
  6. IBM

ISIDを受けるなら読んでおきたい本

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ITが企業の優位性を保つ上で当たり前のものとなった現代のSIerの役割が具体的に述べられている

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