企業研究

【SIer企業研究】TISの事業内容や業務、強み・弱みを分析

Contents

基本情報

会社概要

会社名 TIS株式会社
創業年 1971年
事業内容 情報化投資に関わる以下のサービス提供

  • アウトソーシング業務
  • クラウドサービス
  • ソフトウェア開発・ソリューション提供
  • 上記に関連するコンサルティング業務
従業員数 単独:5,680名(2020/3)
連結:19,744名(2020/3)
売上高 4,437億円
本社 東京都新宿区西新宿8丁目17番1号
平均年収 701.9万円
2020年3月期有価証券報告書より)

TISインテックグループ企業理念

  • Mission:ムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りを
  • Style:オネストというスタイル
  • Policy:人のためにあること
  • Membership:良き社会のメンバー

TIS-会社情報より

TISの事業について

国内の独立系システムインテグレータ(SIer)としては最大級の規模を有するTIS株式会社(TISインテックグループ)。

2020年3月期の売上高は4,437億円にも上り、これは国内SIerの中でもTOP10に入る規模となっています。

上位を占める企業は、富士通NECなどのメーカー系や、元国営のNTTGが母体のNTTデータ、ユーザー系のNRIであり、純粋な独立系のSIerとしては最大級の規模のSIerです。

TISの事業内容

TISが提供しているサービスとしては、主に以下のようなものがあります。

  • アウトソーシング業務
  • クラウドサービス
  • ソフトウェア開発・ソリューション提供
  • 上記に関連するコンサルティング業務

これらのサービスを、インダストリー軸/ファンクション軸に以下のセグメントに分けて事業を展開しています。

  • サービスIT
  • BPO
  • 金融IT
  • 産業IT

それぞれのセグメントの事業内容について、詳しく解説していきます。

サービスIT

TISインテックグループのこれまでのサービス提供ノウハウを汎用化、テンプレート化したITサービスを提供しています。

このセグメントは国内の各種事業会社のDX関連の取り組みへの積極投資を追い風に、クラウド移行やキャッシュレス等の決済関連サービスといった領域を中心に成長路線を拡大しています。

サービスITセグメントの売上高は、2020年3月期でTIS全体の約26%を占める1,255億円となっています。

BPO

TISインテックグループのもつ豊富な業務ノウハウを活用し、マーケティング・販促業務や事務・契約業務等のビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスを提供しています。

エントリー業務等の単純な業務のアウトソーシングだけでなく、TISの強みでもあるITサービスをかけ合わせた高度なBPOを強みとして展開しています。

BPOセグメントの売上高は、2020年3月期でTIS全体の約7%を占める336億円となっています。

金融IT

金融業界特化のビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化促進・ITによる業務運営を支援するサービスを提供しています。

クレジットカードや銀行、保険などの金融業界に向けたシステム提供を行っています。

古くからJCBを中心としたクレジットカード会社へのSIに強みを持っており、クレジットカードの取扱金額ベースで国内シェア50%をもっています。

キャッシュレスやFintechといった追い風の中で更なる事業成長が期待されるセグメントです。

金融ITセグメントの売上高は、2020年3月期でTIS全体の約24%を占める1,144億円となっています。

産業IT

金融業界を除く業界向けに、ビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化促進・ITによる業務運営を支援するサービスを提供しています。

公共分野やエネルギー、製造業等に向けたシステム提供を行っています。

電力自由化に対応した電力契約の切り替えサービスである『エネLink』はスイッチングシェア40%を誇っています。

金融ITセグメントの売上高は、2020年3月期でTIS全体の約42.5%を占める2,027億円となっています。

TISの業績

次にTISの業績について見ていきます。

TISが発表しているIR情報によると、近年の業績は以下のようになっています。

下記のグラフはITSが公表している情報を元に、当サイトにて作成したものです。

2020年度のTISの業績は、売上高が4,437億円、営業利益が448億円、営業利益率が10.1%となっています。

上記のグラフからもわかるように、近年5年間の業績は順調に右肩上がりの成長を遂げています。

決済分野を中心にキャッシュレス分野への積極的なIT投資が追い風となり事業を拡大している他、TISが多く抱える金融業界の顧客のFintechの推進も追い風となり、順調に事業を拡大しています。

その結果、中期経営計画最終年を1年残し、目標としていた売上高4,300億、営業利益10%等の各種指標を全て1年前倒しで達成しました。

『サービス型のビジネスへの転換』、『不採算案件撲滅』を中心とした、事業ポートフォリオ、事業構造の改革も順調に進捗しており、営業利益率は10%を超えています。

これは、富士通やNTTデータといった国内SIerをリードする企業と比較しても優れた高利益体質な事業展開となっています。

今後も成長が期待できる、決済事業へのサービス型のビジネスで、『PAYCIERGE(ペイシェルジュ)』というトータルブランドを展開し、成長路線を拡大していく方向です。

海外事業においては、ポートフォリオとして期待できるレベルの規模ではありませんが、ASEAN地域を中心に着実に事業基盤としての拠点を拡大しています。

『ASEANトップクラスのIT企業連合体』となることを掲げ、これから事業拡大のフェーズと位置づけさらに積極的な投資を加速させていくと思われます。

東南アジアのUberとも言える、オンデマンド配車やフードデリバリー事業を展開するGrabへも出資しており、今後、東南アジアを市場として、強みとする決済ビジネスとのシナジーが期待できます。

海外事業の成長が、今後のTISの飛躍的な成長のカギとなると思われます。

TISの事業・業績まとめ
  • キャッシュレス・Fintechを追い風に決済関連事業が成長を牽引
  • 高付加価値のサービス型ビジネスへの転換も順調で営業利益率は10%超え
  • Grabとの提携を筆頭に注力するASEAN市場での成長がカギ

TISの強み

キャッシュレス社会の実現に向けたサービス提供実績・ノウハウ

TISは創業当時から、大手のクレジットカード会社の基幹システムを手掛けてきており、その中で得た実績やノウハウはこれから更に成長が期待できるキャッシュレス市場でも活かすことができます。

クレジットカードでは取扱高ベースで50%、デビットカードでは80%の国内市場シェアを誇っており、強固な顧客・サービス基盤を持っています。

クレジットカード・デビットカードの分野では、最大手といえる一を確保しています。

これまでの決済ノウハウを集約した、デジタル決済プラットフォーム「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」を中心に、継続的な事業成長が期待できます。

先行投資型サービスへのシフトも順調

SIビジネスの縮小が予想される中で、サービス型・プラットフォーム型のビジネスへのシフトに注力しています。

キャッシュレス決済のプラットフォームはもちろん、エネルギー業界向けのトータルソリューション「エネLinkシリーズ」等、サービス型ビジネスでも先行事例が出てきています。

これによる収益率の継続的な改善も進んでいることから、経営戦略上の計画どおりに事業転換が進んでおり、これからますますこれらのサービス型のビジネスの拡大が進んでいくと思われます。

TIS弱み

グローバル市場の開拓

強みである決済関連のサービスも含め、グローバル市場でのプレゼンスはまだこれからという状況です。

富士通やNTTデータを初めとし、国内のSIerで積極的なグローバル展開をする企業と比較すると、事業規模は非常に小さいです。

ここ数年で整備したASEANでの事業基盤を、これからどのように育てていくか、が課題となるでしょう。

ASEAN地域は市場としては非常に成長が期待できるため、M&Aだけでなく、事業成長のエンジンとして地域に根付いた事業を育てる具体的な戦略が求められています。

競合企業

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