企業研究

【SIer企業研究】野村総研(NRI)の事業内容や業務、強み・弱みを分析

基本情報

会社概要

会社名 株式会社野村総合研究所(Nomura Research Institute, Ltd.)
創業年 1965年
事業内容
  • コンサルティング
  • 金融ITソリューション
  • 産業ITソリューション
  • IT基盤サービス
従業員数 6,297人
売上高 連結売上高5,012億円(2019年3月期)
本社 東京都千代田区
平均年収 1,158万円(平均年齢37歳)

企業理念

NRIグループは、
「使命」「事業ドメイン」「経営目標」「行動指針」の4つを柱とした企業理念を掲げています。

使命
新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う
お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える

事業ドメイン
未来社会創発企業
Knowledge Creation and Integration

経営目標
ナビゲーション&ソリューションにより、企業価値の最大化を目指す

行動指針
真のプロフェッショナルとしての誇りを胸に、あくなき挑戦を続ける

事業について

事業内容

ITコンサルティングと、システムインテグレーション(SI)に定評がある野村総合研究所(NRI)。

野村證券の血筋を引くだけあり、特に金融業界向けのコンサルティングとSIでは一定の規模と信頼を得ています。

また、シンクタンクとしてのリサーチ力とコンサルティング力も兼ね備えており、2016年グローバル・シンクタンク・ランキング(営利企業部門)では5位にランクインするなど、世界でもその実力は認められています。

NRIが提供する主な事業内容としては、以下の4つに分類されます。

  • コンサルティング
  • 金融ITソリューション
  • 産業ITソリューション
  • IT基盤サービス

それぞれの事業内容について説明していきます。

コンサルティング

ITコンサルタントは端的に言うと、「顧客の事業課題を解決するIT戦略の立案、実行支援を支援する」のが仕事です。

NRIのコンサルティング事業では、IT戦略の策定やITを活用した業務改革の計画・実行支援、標準アーキテクチャの確立、グループ・グローバルでのITガバナンスの確立など、企業のIT活用力の向上を支援する多様なサービスを提供しています。

NRIはまだITコンサルティング(システムコンサルティング)が、国内のIT業界の中で一般的になる前の1984年からITコンサルティング事業を展開しています。

これは競合としてよく比較されるNTTデータが、1991年に実質的なグループ内でのコンサルティング部隊である、NTTデータ経営研究所を設立していることからも、NRIのITコンサルティングに関する経験の長さがわかります。

このコンサルティング事業の売上高比率は8.2%(2018年度)となっています。

NRIというと、ITコンサルティングというイメージが強いので少し以外な数値ですね。

金融ITソリューション

NRIが提供する金融ITソリューションの特徴として、「ナビゲーション」×「ソリューション」を掲げています。

このメッセージが持つ意味は、
金融業界の先を読み、あるべき姿へナビゲートする。
そして、顧客のビジネスがあるべき姿へ近づくための課題を解決する具体的なソリューションを提供する。
という意味が込められています。

金融ITソリューション事業では、証券会社、資産運用会社、保険会社、銀行向けといった金融業界のさまざまな業態に向けてソリューションを提供しています。

この金融ITソリューションは、野村證券を顧客とする事業部門ということもあり、全事業部門中で最大の売上高を上げています。

証券向けのITソリューションである「THE STAR」や、投資信託向けの共同利用型パッケージである「T-STAR」シリーズは、国内の投信向けソリューションとしてはシェアNo1を誇っており、まさにNRIのビジネスの花形部署となっています。

この金融ITソリューションは、NRI全体の売上高の約50%(2018年度)をこの部門が売り上げています。

産業ITソリューション

金融ITソリューションの次の2番目に売上高構成比率が高いのが産業ITソリューションです。

産業ITソリューションでは、製造、流通、サービス等の各産業業界向けにITソリューションを提供しています。

簡単に言ってしまうと、事業分野としては、金融以外の顧客向けのビジネスがここに分類されます、

野村證券に次ぐ2番目の大口顧客である、7&iホールディングス向け(セブンイレブン、イトーヨーカドー等)はここに分類されており、一定の事業規模を保っています。

産業ITソリューションの売上高に占める構成比は約35%(2018年度)です。

IT基盤サービス

企業のIT活用を支えるシステム基盤を提供しているのが、IT基盤サービスの部門です。

データセンター事業やプライベートクラウド・パブリッククラウドの提供を支援するサービスを提供しています。

企業の「レガシーシステムのモダナイゼーション」を支える技術として、クラウドにも戦略上注力しており、レガシーとモダンシステムの融合等多様化するシステムを支えるトータルサービスを展開しています。

IT基盤サービスが売上高に占める構成比は約6.6%(2018年度)です。

業績

次に、NRIの業績を見てみましょう。

以下のグラフは過去5年間のNRIの売上高と営業利益率です。
(このグラフはNRIが公表しているIR情報を元に当方でグラフを作成しています。)

売上高としては、毎年増収傾向が続いていますね。

ただし、収益全体の伸び率はそこまで大きくはありませんし、富士通やNTTデータ等の競合と比較すると未だに規模としては1/3〜1/4程度のビジネス規模となっています。

しかし、特筆すべきはNRIの営業利益率です。

営業利益率は13%〜14%程度で推移しており、これは外資系のコンサルティングファームIBM等のメガITベンダーに並ぶ収益率です。

日本国内の他SIベンダーの営業利益率が6%〜9%程度と考えると、競合の倍近い営業利益率を出しています。

利益率が高くとも顧客が納得するだけの、価値の高いサービスを提供していると言えるでしょう。

次に、セグメント別の売上高を見て見ましょう。

売上高全体のうち、50%を金融ITソリューションセグメントが締めています。

実質的な親会社であり、最大顧客である野村證券向けのシステム構築、そこで培ったノウハウの横展開がNRIのビジネスの基盤となっていることがわかります。

最後にNRIの海外ビジネスですが、連結売上高に占める海外売上高の比率はわずか10%となっています。

これは、国内の他の大手SIベンダーと比較しても大きく遅れていると言わざるを得ません。

ただし、野村証券をはじめとして日本国内の金融市場向けのサービス提供、日本国内のビジネスのためのシンクタンクというNRIの強みを考えると、中立的なSIビジネスをワールドワイドに展開するという側面は少ないのかもしれません。

NRIとして海外の顧客に向けてビジネスを積極的に展開するようよりは、日本の顧客の海外進出に合わせて支援する、程度の方針とも考えられます。

まとめ
  • 売上高は増収傾向が続いており、業績の伸びは好調
  • 金融ITソリューションが売上高の50%を占め、事業を牽引
  • 営業利益率は13%程度と非常に高い値で推移
  • 海外ビジネスは未だ売上高構成比10%程度と苦戦

NRI(野村総研)の強み

金融分野へのソリューション提供

金融ITサービス企業のランキングである、Fintech Rankings Top 100 において、第9位(2018年)に選ばれています。

これは金融分野での、NRIのプレゼンスを評価されているもので、特に証券会社向け、投資信託会社向けのシェアは日本国内でも一定の規模を確保していることが評価されています。

同レポートでは、他にエンタープライズ部門にて、NTTデータ(第6位)、日立(第11位)、富士通(第12位)が国内企業からランクインしており、受賞部門は異なりますが、これらの企業に並ぶ評価を受けていると言えるでしょう。

出展:2018 IDC Fintech Rankings

上流のコンサルティングからデリバリまで提供

リサーチから、IT戦略のコンサルティング、その後のシステム開発・デリバリまで一貫して提供できる点が強みです。

日本国内のシンクタンクとしては、最大級の歴史の中で蓄積されたノウハウ、特に野村グループを中心に金融業界に向けてシステムを提供してきた実績により、日本の金融業界向けITサービスベンダとして、確固たる地位を築いています。

社員の目線から見ると、コンサルタント、SEどちらのキャリアも社内に存在することは、興味深いと思います。
ただし、上記2つのキャリアが直線上にある(SE→コンサルタントとステップアップ)というキャリアパスでは無いようです。

NRI(野村総研)弱み

収益ポートフォリオの偏り

NRIの売上高のうち、2大顧客である野村グループ、7&iホールディングス向けのビジネスが約22%を占めています。

NRIの強みを活かしたビジネスは展開できているものの、この証券・流通に依存したポートフォリオは将来性や将来の業績に不安を感じざるを得ません

証券・流通以外の分野への幅出しや、ポートフォリオの再構成の検討が必要ですが、実行力のある戦略は示されておらず、今後もこの2大顧客依存の状態が続くと想定されます。

この2大顧客のビジネスを不況が襲ったり、他のベンダーに事業領域と取られた場合に、大幅に業績に影響を受けるため、ポートフォリオの再構成、他の成長分野の定義と育成を至急検討する必要があると言えます。

グローバルでのプレゼンスの低さ

海外におけるビジネス基盤がほとんど無い点は、今後の成長ドライバーを考える上で改善が必要と思われます。

日本国内のIT業界全体は、もちろん金融業界向けのITサービス提供含め、すでにレッドオーシャン状態であり、この飽和した市場の中で飛躍的に成長を目指すのは非常に困難です。

日本の顧客の海外進出を支えるための海外拠点の拡大はもちろんであるが、NRI自体のビジネスのグローバル化を加速させるためには、海外資本の大口顧客を見つけ、海外でのビジネスの足掛かりを作る必要があるでしょう。

デジタルビジネス領域でのプレゼンスの低さ

海外ビジネスと同様に、デジタルビジネス(DX=Digital Transformationビジネス)領域でプレゼンスが低いです。

競合他社では、デジタルマーケティングや自動運転(MaaS)、AI・RPA等のデジタル領域でのビジネスで顧客とのパートナーシップ、PoC等の実績が出始めているのに対し、NRIの取り組みはいわゆる従来のSIビジネスが中心となっています。

この点に関してもさらなる投資を行い、注力をしていくことが必要でしょう。

競合企業

NRI(野村総合研究所)の競合として、以下に挙げる企業は研究しておくべきでしょう。

NRIを受けるなら読んでおきたい本

ITロードマップ 2020年版

NRIが毎年発行している最新IT(情報技術)の動向の調査をまとめ、今後どう変わっていくかを情報発信している書籍

ITロードマップ 2020年版

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野村総合研究所IT基盤技術戦略室
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デジタル国富論

NRIの代表取締役社長の此本臣吾氏監修の書籍

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森 健, NRIデジタルエコノミーチーム
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