企業研究

【SIer企業研究】富士通とNECの強み・事業・将来性などを比較

今回は就職活動・転職市場においても、日系の大手メーカー系SIerとして未だに人気の高い富士通とNECの比較をご紹介します。

今回の企業分析においては、主にITサービスベンダーとしての富士通とNECの比較となります。

基本的な情報ソースとしては、両社が公開しているIR情報やアニュアルレポート、同業界に身を置く筆者の経験から、比較情報をまとめています。

それぞれの企業の個別の分析の記事はこちらにあります。

富士通とNECの企業概要比較

まずは、両社の売上高や従業員数等、企業のアウトラインがわかる情報から比較していきます。

富士通 NEC
設立 1935年 1899年
従業員数 連結 132,000名(2019/3) 連結 110,595名(2019/3)
売上高 4兆0,983(2018) 2兆8,444億円(2018)
営業利益率 4.5%(2018) 2.2%(2018)
海外売上高比率 36.8% 14%

事業規模比較 解説

事業規模については、富士通がNECの約1.4倍の事業規模となっています。

日本のITサービスベンダーランキングで、富士通は1位、NECは3位となっており、両社とも日本を代表する事業規模を誇っていることがわかります。

営業利益率 解説

営業利益率に関しては、富士通の4.5%と比べ、NECは2.2%となっており、富士通の方が約2倍、高利益体質と言えます。

ただし、両社とも、営業利益率としてはグローバルでメーカー系として最大の競合となるIBM(10%超え)や、国内の最大手ITベンダのNTTデータ(約7%)と比較すると物足りない数値となっています。

一人あたりの売上高

次に、労働生産性として、従業員一人あたりの売上高を確認してみます。

これは、従業員がどれだけ価値の高い仕事をしているかを比較するため大事な指標の一つです。

年間の売上高を従業員数で割って算出すると、それぞれ以下の通りとなります。

富士通:3,100万円
NEC:2,570万円

富士通の方が労働生産性においても高いことがわかります。

海外売上高比率 解説

海外売上高比率に関しては、富士通が36.8%、NECが14%となっています。

両社とも、海外においてHW販売を除くSIやサービス提供ではプレゼンスが低く、ITサービス領域では苦戦している状況です。

強み・弱み比較

強み

富士通 NEC
ITサービスベンダとしてのプレゼンス
国内No1のITサービスベンダとしての地位・ブランド力があり、優良な顧客基盤を抱えている。

サーバー製品の安定した売上
サーバー製品の国内市場シェアにおいても、25%程度を確保(IDC調べ)しており、今後も安定的な収益が期待できる。

生体認証技術分野での技術力
生体認証分野のコンテストで1位を取るなど尖った技術を保有している。
デジタル社会でのセキュリティ確立で新たな市場を開拓できる可能性がある。

ネットワーク関連領域での実績
ネットワーク関連で、NECは老舗として多くの通信事業者との取引実績を保有。
5Gを始めとしたビジネスチャンスの広がりが期待できる。

富士通について

国内市場においては、シェア1位を獲得していだけあり、顧客基盤が安定しているため、事業の安定性も期待できます。

ITサービス、HW両方のこれまでの実績から、富士通を事業のパートナーとして認めている企業も多いため、顧客基盤を活かした新たなビジネスの拡大も期待できます。

NECについて

事業においてはここ数年かなり苦労している印象のNECですが、不採算の事業の売却を進め、事業低迷の底は抜けたという印象です。

今後はICT関連サービスへの集中で、事業を立て直す方針ですが、生体認証分野やネットワーク等、今後追い風となる可能性のある分野でしっかりとした技術的な強みは持っているため、この強みを活かしたデジタルビジネスへの幅出しを期待したいです。

弱み

富士通 NEC
デジタル領域での新ビジネス創出
これまでのHW販売やSI型のビジネスだけではなく、新たなデジタルビジネスへの転換という意味では、出遅れ感が否めない。

グローバルでの競争力
一度は海外売上高比率50%を中期経営計画に盛り込んだが、これを目処がないことから撤回するなど、具体的な進捗が見られない。

サービス、プラットフォーム事業等へのモデル転換
総合電機メーカーからICTサービスベンダへの転換を推進しているが、コアコンピタンスと呼べるビジネスが見えていない。

グローバ事業での収益拡大
HW、サービスの両面で、グローバルでは存在感を発揮できていないことは大きな課題。経営戦略として認識はされているが、具体的な戦略とその進捗が見えていない。

富士通

デジタルビジネスの領域で出遅れていると言わざるを得ません。
規模の大きな本社主導での実現を諦めたのか、新会社を設立()したが、これをドライバーに加速させることができるかが注目されます。

グローバルについては、具体的な目標と戦略を再設定し、飽和状態の日本市場以外での成長を見込める状態を作ることが課題となっています。

NEC

富士通と状況は似ていますが、こちらもICTサービス、さらにはデジタルサービスへのビジネスモデル転換が課題です。

AIや5Gといった時流の変化に即した強みとなる技術は保有しているだけに、その先端技術をビジネスとしてどのように刈り取ることができるかに注目です。

グローバル事業については、比率がわずか14%程度、営業利益は赤字の状態と、大変苦戦しています。
日本国内で確立した強みを海外で、どのように活かしビジネスを拡大していくのか、具体的な戦略を示し実行していくことが求められています。

事業内容比較

事業内容としては、両社は似ている点が多くあります。

両社ともサーバー等のHWからICTソリューションまでを一気通貫で提供できるケイパビリティを備えています。

また、両社ともHWベンダー(もっというと総合電機メーカー)から、ITサービスベンダーへとビジネスモデルのシフトを志向しているという点においても同じ方向性を目指す競合といえます。

電電ファミリーの中核会社、公共分野でも一定のプレゼンスという意味でも、収益化の上でのコア事業も類似しています。

事業内容としては、ほとんど類似しているので、強みや弱み、志向するインダストリーでの特定の顧客へのサービス提供実績等、細かい部分でどちらの会社が自分に合うかを選択する必要があります。

将来性比較

ここからは強みや弱み、ビジネスモデルを踏まえた予想になります。

富士通

これまで築いてきた国内で最王手のIT企業という地位から、潰れることはまずないでしょう。

ただし、デジタルサービス、アプリケーションレイヤーでのイノベーションという意味ではプレゼンスが弱く、
この領域では、NTTデータ等の国内SIer、アクセンチュアやIBM等の外資系ITサービスベンダーに引き離されていく可能性があります。

また、マーケット自体がグローバル化しているため、国内ではある程度のポジションを引き続き堅持していくものを思われますが、
グローバルでのベンダランキングは徐々に交代していくものと予想されます。

グローバルマーケットで戦える企業になれるか、という意味では、現時点での中期経営計画等の事業方針や、海外ビジネスの現状を見ると厳しいと言わざるを得ません。

NEC

一通り不採算事業を片付け終わり、成長路線へ回帰したことから、現状よりは徐々に改善していくものと思われます。

こちらも、軍事系といった国家レベルのプロジェクトでのニーズ等がまだ十分にあることを考えると、企業そのものが倒産に追い込まれるということはほぼないと予想できます。

セキュリティ分野やNW機器等のNECならではの高付加価値が出せる領域で、どれだけ収益・利益を伸ばせるか次第ですが、事業を大きく成長させるにはまだもう少し時間がかかるものと思われます。

また、富士通と同様に、国内でのプレゼンスが急落することはないと思われますが、海外事業は抜本的な方向転換がないと、世界のITサービスベンダーとしては後退していくでしょう。

平均年収比較

富士通:798万円(平均年齢43.2歳)
NEC:809万円(平均年齢43.1歳)

平均年齢も同じ状況での比較なので、ほとんど差がないと言えるでしょう。

いずれも、日系のメーカー系SIerとしては大手なので、日系企業としては収益が高いほうだと言えます。

ですので、収入でどちらが良いというよりは、自身のスキルや志向とマッチする方を選ぶべきと考えます。

年収とは関係ないですが、両社とも平均年齢が43歳台と、非常に高齢なのは気になりますね。
IT企業は、最新技術へのキャッチアップが必要なことや、個人で上昇志向があり、かつ、市場価値の高い人材の流動性が高い業界なので、「年功序列の文化が根強く残っているのでは」、とも推察できます。

参考情報

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